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この日だけ5月 19日 土 .
ここのところ建築離れが進行していたのですが、一気に建築に引き戻されました。なにしろ塚本由晴さんからイベントがらみで京都に上洛するという連絡を受け、会うことになってしまったのです。

エライことになったと思いました。前日は、右の人が「塚本さんに会うからキッチリお化粧しないと」などと言いながらめかし込んでいるという無駄にリアルな夢を見ました。

京都案内なんぞ不慣れなので、どうしたものかと思いましたが、時間の関係などがあり、御幸町三条近辺を散策して、元祖町家改装カフェのサラサへ。まるでデートコースです。ツカモト氏は、我々が普段気づかない変な町家や愉快なお店を目ざとく発見してバシバシ写真を撮っていました。スキマ・プロジェクトで培った経験のたまものでしょうか、ざくざくと路地に入ったり、建物と建物のスキマがコンクリートで埋められている処を見つけたりしていました。

こういうのはたしか、ツカモト用語では「取材」と言うのです。以前NHKの建築版料理の鉄人みたいな番組で言っていました。しかし右の人に言わせるとこれは「バスでコロコロ」なのだそうです。これは以前やっていた関西ローカルの番組で、ひさうちみちおと越前屋俵太が京都をあてもなく彷徨して、気になった店に迷い込んでなにやら体験したり、そのへんを歩いている人に声をかけてお店を教えてもらってそこへ行くという、ただそれだけの番組です。

そのように京都の午後を楽しんだのち、ツカモト氏が招かれたイベントへ。当のイベントとは、ツカモト氏とF.O.Bの梅林克さんが、東西を代表する「スーパーフラット」の建築家としてスーパーフラットについての議論をするというコンセプトの企画です。聞き手は梅林克さんの高松事務所での先輩の關聡志さんで、企画を行ったのは恵文社と双璧をなす京都アート系本屋MEDIA SHOPです。

關さんが最近の建築の傾向、つまりモノよりもプログラムに主眼が置かれていることとか、学生の提出課題では建築がビルに寄生して自立していないことなどをやや悲観的なニュアンスで振り、克さんとツカモト氏が応戦する形で進行。

ツカモト氏はいろいろと新語を開発するのが巧く、前出の「取材」やら、最近でも「(都市・建築を)カスタマイズする」などのヒット作を生み出していますが、この場でも、「社会性を更新する」とか「建築の文脈化」あるいは「ファーストオーダー:セカンドオーダー」などのコトバを披露していました。このまま10年くらいしたら「ツカモト辞典」が発売されるイキオイです。

講演会が終わった後、岸和郎のギャラ間の展覧会でVJ作品を作った方を紹介していただきました。もともとはGRAPH*FACTORYというグループで活躍していましたが、現在は14sdという男男ユニットで再出発しているようです。ものすごい全方位型デザイナーのようで、グラフィック・プロダクト・映像・建築・webを制覇してます。このようになかなか強力な方と知り合い、かの【ケンチクナイト】実現に一歩近づいた気がします。

勢いあまって飲み会まで参加してしまいました。会場まで歩く途中で高松伸マンション建設反対運動が展開されている通りに立ち寄りました。

パーティーは講演メンバーとその所員さん、そして玉置順さんなどが来ておられました。初めてお会いする方がほとんどで、緊張しました。とくに克さんや所員の方からはSTUDIO VOICEのレビューについて「キツかった」「他の人はちゃんと空間分析してるのに」と叱られ反省しました。今見ても、とても読めたものではない……構成の乱れには諸事情ありますが。

關さんは、五十嵐隊長日記にある通りけんちくwebサイトを読み込んでおり、ぽむ日記もディティールまで覚えていて、「最近ぽむ企画のページってパワー落ちてない!?」とツッコまれてしまいましたが、【ケンチクナイト】に強い興味を示しておられました。【ケンチクナイト】については、ツカモト氏もかなり乗り気。是非実現させたいものです。

さて、本日のイベントは大盛況だったのですが、来月また新風館で建築関係の展覧会とトークセッションがあるようです。「ミニハウザー日本展 小住宅の可能性」トークセッションは6月15日の18時からとなっており、この展覧会に出展している建築家が全員来るようで見逃せません。



(*2020年、一部文章に修正を加えました。)