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この日だけ7月 22日 火 .


そういやふた月前に東京文化会館に行ったことについて書きます。

東京文化会館はクラシックヲタクの間では評価が高いホールの一つらしいです。わたしはオタじゃないので以下は推測と伝聞ですが、彼らの基準はずばり「音」のみ。1に音2に音3に音、4ぐらいにようやく視覚デザインが出てきますがこれは席が広いとか舞台が見やすいとか、ようするに客席の並べかたです。8ぐらいにロビーが出てきますがこれはベンチが少ないムカツクとか飲み物持ち込み禁止ムカツクとかです。10ぐらいに都市環境で、これは交通至便とか帰り道にうまいラーメン屋があるとかです。そんで外観デザインは36番目ぐらいです。

そして彼らは意外にもホールの設計者についてよく知っています。ただし「音響設計」のです。

すなわちけんちくオタの評価とクラオタの評価にはまるで相関関係がありません。概して建築家ものは人気ないです。「けんちく界の古典的名作」もおおむねカスとかクソとか潰せとか言われていていささか胸が痛みます。逆にクラオタに(わりと)人気のホールは大阪のシンフォニーホールとかです。どうでもいいですね建築の人には。しかし彼らは「××ホールは何階席のどのへんがよい」とか「○○ホールは客席はいまいちだが演奏はしやすい」とかそういう評価の仕方をするので格付けは困難です。

それぞれオタなりのポリスィーで判断しているだけでありどっちもどっちだと思いますが、しかし考えてもみるとここまで真剣に建築物を評価してくれるユーザーが他にいますか?ここまで評価が乖離するというのはいかがなものか。ですからせっかく建築旅行とかするならとにかく金払って中に入れ椅子に座れ何か聴けロビーで茶飲んどけ外観写真なんかユキオ先生が撮ってくれてるから。とそう思うわけであります。

さてそうした状況にあって東京文化会館は双方の評価が一致するものすごーく稀有なホールなのですが、わたしは中に入ったことがなかったので気になっていたわけです。

平面は六角形、取り囲むようにバルコニー席が2〜5階まであります。どこの席からもステージと他のお客がよく見える祝祭的スタイルであります。わたくしは音がわからないのでこういう形がいちばん好きです。当日券でいちばん安い天井桟敷1500円を買いました。ビジュアル的に楽しみたいけんちく見学者はこの席で十分です。というかこの席がベストです。エレベーターはないのでがんばって登りましょう。

内装はたまげたものでした。凝っているのはわかりますが理解不能です。壁の重たい前衛ふうレリーフと、赤緑黄の布が張られた曲げの木製椅子の軽さがマッチしてないこと宇多田の歌詞と曲の如し。

み江さんは耳の中でねぎを栽培しているので音のことは小さな声で言いますけれども4階席にいてもソリストのオーボエにマイクが仕込んであるかと思うぐらい目の前で聞こえて気持ちよかったです。でも弦と管がなんかバラバラに聞こえてきました。まあ天井に近い席なんでしょうがないのかな。同じ4階席でも最前列だとかなりよくなる気がします。そのかわり少し高いです。

ロビーはすげえよくできていました。段差とかバルコニーとかいろんな細かい仕掛けが埋め込まれているので、たいそう広いんですがゴジャース社交場て感じではなく、開演前の幸せな時間を「各自が好きな場所で思い思いに過ごす」ていうてめえらの大好きな空間の教科書みたいになっていますから一度金払って体験するといいと思います。一人で来るオタどもにやさしい作りであり日本の聴衆層を考えるとこれでいいのです。

まとめると趣味の空間としてはマーベラスでありこんないいホールが近所にあるやつはうらやましいぞオイ?アメ横近いし。