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この日だけ3月 18日 火 .
チェルフィッチュの「フリータイム」追加公演をみにいった。

舞台はファミレス。登場人物は店員と客で計6人。ファミレスにおける自分や他人の行為を説明する自分語りが延々つづく。かみあうような、かみあわないような、関心がないようで、すごく観察しているような”平坦な戦場”の描写。当世わかものコミュニケーションを大げさに表現したような繰り返しや倒置が多用された語り。ふらふらとした動作。三浦展いわくところの「かまやつ女」的なファッション。

……こういう批評性というのは、むかしの新劇なんかに通じる伝統的な姿勢なのかな。とりあえず純粋エンターテイメントというよりは、分析されることを前提としたパフォーマンスという気配がする。アフタートークに社会学者を呼んだり(役名までご丁寧に東くんと鈴木くんだったり)、舞台装置をトラフに依頼したり、グラフィックが仲條正義さんだったり、というのは、文化人やメディアやお客さんを効果的に呼ぶ狙いがある、と同時にそれが見事に効果を奏してしまうタコツボ島宇宙な状況に対する批評性もあるのだろうか。そのあたりは戦略的すぎて見にいったことが悔しくなるけど、そういう反応も確信犯的だなあ。でも社会状況を先取りしているかというとそうでもなく、むしろ併走している感じだし・・などとぐるぐる考えつつ、会場で偶然あった建築の長岡勉さんと、キュレーターの内田まほろさんと、アフタートークに(というか、私がずうずうしくついて行ったのである)。

勉さんが冴えたコメントをしていたので、覚えてるかぎりのコメント(+わたしなりの解釈)を書いておきます。

「演劇の形式を解体することが自己目的化していて、そのために、ファミレスという設定だったり、若者のとりとめも無い感じだったり、普通に本人がしゃべってるだけ風だったり、といったことを道具として巧妙に利用しているという感じ。」

……ちょっと違ってるかもしれない。ともあれ「結局はアプローチとして閉じている」という批評。これはどのジャンルでも通じる「開いてるつもりが、うっかり閉じちゃってる」の一種なのではないか、なるほどと思った次第。結局、演劇をふだん観ない人には、届かない表現になってしまう。建築も同様。「これまでの建築というのは○○だけど、ぼくは○○ではない」とか、うっかり言いがち。

しかしトラフの装置は効いていて(うまく読めるクリエイターをチョイスした点がまた悔しくもあるけど)、奥行きではなくて高さで空間表現しているのが面白い。奥行きや陰影を出すと台無しになる演劇だから、テーブルと椅子をある高さで切断して、椅子の背中やテーブルトップだけが白い水平面からひょっこり飛び出している空間で、浮遊感を出している。

こんにちは。お彼岸ですね。春のお祭りです。かつてあじとの猫と「春の祭典」という遊びをしていたことを思い出します。「ジャジャ、ジャジャジャ、ジャジャジャジャジャジャ」などと春の祭典を歌いながら猫を揺らすという遊びです。モカのいやそうな顔が忘れられません。ちなみにあれ以来ウシは来ません。

ドルが安いので西海岸とメキシコに行くことにしました。今までウルトラクイズ以外で南北アメリカ大陸に行ってみたいなどとはゾウリムシの繊毛ほども思ったことがなかったのですが、初めてそういう気持ちになったからです。それはサイズについての関心のせいだと思います。大きさの必然性ですね。ものにはすべて「その大きさである」理由があります。神が作ったものでも人が作ったものでもそうです。そして人は自分の身体サイズを基準にする以外に外界を再構成する方法をもちません。それで自分の未知の大陸のスケール感覚というのを経験したいなと思ったのです。などとそれらしいことを言いましたが要は京都盆地のしみったれた寒さがいやでいやでたまらないので、広くて暖かくて乾燥したところに移動したいのです。

本当はアリゾナやニューメキシコの赤い大地に行って神の盆栽(おもしろい地形のこと)を見たいと思いました。私は前世がフェネックかエリマキトカゲなので砂漠が好きなのです。しかしアメリカの砂漠はこの季節は京都より寒いらしいので断念、そのかわりにユカタン半島を目指すことにしました。ユカたんは熱帯雨林に覆われていますがカルストなので地上に川が流れていないらしいのです。なんだそれは。川のないジャンゴォ。萌える。人は意外性に弱い。この人でぶなのにこんなに動きが素早いなんて〜☆ とか。

ロサンゼルスのゲイリーのホールでコンサートを聴き、ソーク生物学研究所を参拝して、バラガンとキャンデラ巡礼、という建築バカコースもとい建築学生さんコース。あとは趣味のテキスタイル狩りと熱帯雨林。12年ぶりぐらいに(前半だけ)建築旅行です。ちゃんと帰ってこられますように。