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この日だけ3月 8日 日 .


【2日目】画像検索がめんどうになってきたんですけどもういいですよね

ありえないヘアピンカーブをぐいぐい攻めて、今井兼次の日本二十六聖人殉教記念館@1962学会賞。「これが長崎か」とつぶやかずにはいられない丘の中腹にあって、道路を挟む形で広場と記念館と聖堂が並んでいる。ガウディを意識した表面がゆうめいだけど、ここにしかない地形とプログラムを生かしたコンポジションもよかった。モザイク壁画には茶碗やらマジョリカタイルやら有田焼の大皿やらいろんなやきものが貼り付けられているよ。

そんな坂道を昔は小さな対州馬たん(絶滅寸前在来種)が荷物を担いで昇ったり降りたりしていたらしい。ハミなしで一本手綱で御す。お利口だ。かわゆい。対馬まで行けば乗馬もできる。今度来たら乗ろう。

眼鏡橋。子供のころなぜか猛烈にあこがれていた眼鏡橋。なぜだ。お兄さんだけではなく橋にまでメガネか子供の自分。そこまでメガネが好きか。まあ真面目に分析すると、幾何学形フェチだがメカくさいものに興味のない子供がピンポイントで心魅かれる造形なのであろう。お兄さんのかけているメガネとは関係ない。たぶん。

眼鏡橋近くでちゃんぽんを食べる。並と上のちがいは意外にも「スープ」であった。ふつう具ですよねこういうのって。このお店だけなのかどこでもそうなのかわかりませんが、この地におけるこの食べ物の文化的奥行きを感じました。あっさり風味の並は並でおいしいですが、上はクリーミーで甘いです。

大浦天主堂。丘の上の階段を上がりきったところがいきなり正面玄関。広場なし。間合いなし。清水とかモンマルトルというよりむしろ鉄塔とか灯台的。そして入った瞬間「おおスゲー」と「なんだこりゃー」が同時に出てくる。ものすごく綺麗なんだけどものすごい違和感。骨組みが軽やか〜。紙と木でできてますって言われても信じそうなくらい華奢。まるで障子ですよ。でも構成はちゃんとゴシックのあこがれ神ランド空間になってる。トリフォリウムぽいものとかあるし。天高く伸びる木のヴォールトと白い漆喰のリズムがほんとに綺麗。ていうかあのリブヴォールト曲木ですかすごくないですか。大工が。でもヴォールトって石とか積んで作るもんだよねふつう。全体のボリュームと目に映るパーツのプロポーションがかみあわない。全部漆喰で塗り固められてて何でできてるのかわかんない。と思って後から調べたら、恥ずかしながら不勉強で知らなかったんですが、もともと木造で、あとから四方にかなり拡張して壁を煉瓦造にしてるんですね。なんかいろいろ納得。九州にはこういう木造ゴシックがたくさんあるのだな。

グラバー園。コロニアルのベランダってけっこう広いのね。日本家屋の縁側よりだいぶ垂直方向に開けているし、前後に動ける範囲が大きい。そう考えると縁側の軒とか柱とか縁とかっていうパーツは、視界を額縁的に絵画的に切り取るっていうだけじゃなくて、それらがほのめかす垂直方向の平面の存在によって(ようするにフェノメラルな透明性によって)、奥行きの認識にも使われているのね。縁側の重層的構造に気づいた。今さら。

園内には移築されたいくつかの洋館があり、順路最後のグラバー邸がやはりいちばんゴージャスなのですが、私はそこにたどりつく前にデジカメの電池が切れましたみなさん気をつけてください。どっかのお宅で有田焼の鉢を洗面器として使っていたのがとてもうらやましかったので今度来たら買おう。

ありえないヘアピンカーブをぐいぐい攻めて、雲仙に到着。いい感じの温泉旅館に泊まりました。雲仙は濃くて臭くて本当にいいお湯ですね。なめると危険な濃度のイオン味がします。ちょっと前にあきる野の温泉をけっこう濃いとか書いたことを反省。いやあれ都内のスーパー銭湯としては濃いって意味だから。ちなみに私基準での「いいお湯」とは、入浴後に足の親指の付け根の体温を長く保っていられるお湯のことである。