ぽむ日記
 なるべく everyday
 使い方・リンク方法
ぽむ日記過去ログ
ぽむ日記サーチ
この日だけ4月 13日 月 .
久々に関わった書籍の宣伝を。
もう出版されてから結構経っていますが。。。

「凸と凹と 竹中工務店設計部のなかみ」(美術出版社)

表紙。左は1986年刊・別冊新建築日本現代建築家シリーズ11竹中工務店設計部。


Laquaのなかみ


企業ミュージアムのなかみ

あまぞん 南洋堂 柳々堂 竹中 美術出版社

竹中の設計部の中の人がどんな仕事をしているのか、そして町の中に堂々かつさりげなく存在するあの建物がどういう思いやいきさつを経てつくられているのかがうかがえる、ビジュアル&テキストブックです。

この本を担当された編集者の長谷川直子さんから「そもそも何でこういう建物が必要とされてるの?」「日本の都市風景をつくっているのは本当はゼネコンなんだよね? なんでそういう建物をやさしく紹介した本がないの?」と言われ、目からウロコが落ちました。

我々も「設計-施工に明確なブランド力を持つ竹中さんというのは、実は”ニッポンの美しいゼネコン”として世界に誇るべき存在なんじゃないか」「そーだよ建物雨漏りしないのがあたりまえだとか安全第一だとかこんな言われる国ほかにないもんね」「さらにデザインもかっこいいなんてスゲーじゃんクールジャパンじゃん」……と勝手で安易な妄想をふくらましはじめ、前のめりに執筆+編集協力をいたしました。

担当はおおまかにpp.036-049,058-073,106-117,178-183が平塚。pp.050-057,118-129,140-147がたかぎ。竹中の中の人による寄稿群も、すごくおもしろいです。これからは施工も含めて知りたい。他の会社さんのことも……。



(*2020年、一部文章に修正を加えました。)

ちょっと宇治に行きました。宇治は地形がいい。ぽこぽこした山がすぐそこまで迫っているのに川幅がゆったり広くて、ダムが放水した水がざばざば流れている。川というより湖っぽい。そりゃ貴族も別荘建てるわ。

宇治上神社。小さくて濃い。物語的であり絵画的でもある。ちっちゃな石橋→鳥居でなく門→一段低くて薄暗くて黄泉っぽい手水場。イニシエーション的な出来事のための仕掛けがいちいち気が利いてて、しかもわずか何十歩かの間に用意されている。門、拝殿、一段高いところに本殿、そんですぐ後ろに屏風みたいな山。重層構造が浅い奥行きの中に凝縮されて実現してるから、舞台装置みたいな絵画性がある。参道からの絵も、門と拝殿の軸線がずれてて、橋もちょっと曲がってて、かなりかっこいい。拝殿じたいも縋破風でちょっとだけ左右非対称でかっこいい。いちいち深読みを誘うデザイン。

平等院。鳳凰堂。飽きない立面。24時間じっと座ってないと死刑と言われたらここに座る。鳳翔館by栗生明。国宝のミュージアム。高低差を利用して小山に建物ほぼ全部埋めて、鳳凰堂の周辺からは入口さえ見えないよう角度を降ってある。ボリュームは大きいけど人とのインターフェイスは要素をぶつぶつ区切って小さく小さく。居心地いい。ところで近頃はこうした社寺仏閣の類までもが充実したミュージアムショップを備えていて卑怯である。ここでも宝相華のついたハンカチだの雲中供養菩薩トランプだのたいへん卑怯なおみやげをたくさん売っている。8点ぐらい買う。「小袋おつけしますか」とレジで聞かれるが断る。ぜんぶ自分用だから。

雲中供養菩薩のかわいさは神です。あ菩薩か。キャラが立ってるし。生きて動いてるし。あのひらひらなびいてる衣が木でできてるなんて信じられねいよ。ていうかフィギュアですよねこれ。髪やスカートのなびき方に魂入れたりとか。集めて並べて愛でたりとか。1000年たったらフィギュアも国宝に指定されてハンカチになると思う。そんで1000年後のぽむ日記に「ていうかヌペッポですよねこれ」とか書かれると思う。