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この日だけ4月 18日 土 .


つづき。

今回のドバイ行きにあたって最も頭とお金を費やしたのは「何を着ていくか」という問題です。

ヨーロッパの競馬場はおっさんだらけの鉄火場である日本の競馬場とやや異なり、貴族が着飾っておしゃべりとピクニックを楽しむ社交場の名残を強く残しています。たぶん。そしてドバイにもワールドカップの日には指定席エリアにドレスコードがあるのです。スマートカジュアルで十分なのですが、みんなそれ以上に気合を入れてめかしこんできます。とくに帽子が重要で、この季節になると市内のお店にとりどりの帽子が並ぶといいます。そして競馬場内の特設会場ではレースと並行しておしゃれコンテストが催されます。帽子部門賞とかカップル部門賞というものもあります。ベストドレッサーに選ばれると賞金80万円と、タイのリゾート往復航空券(UAEからのだけど)がもらえます。

……といった情報を事前に得て、そんなゆかいな場所に行くからにはこちらも心して装わねばならぬと思いました。われわれの選んだ衣装は「和服」です。

日本女性が西洋のドレスを着るというのは、日本人がバレエを踊るのと同じぐらいハンデがあると個人的には思います。世界が嫉妬する容姿でない限り、国際的な催しには和服がベストの選択であるというのが私の判断です。男子も和装するべきです。着物が似合わない日本人男子などいません。夏になると女子浴衣・男子Tシャツのカップルをよく見ますがよろしくないとつねづね思います。ちょっと来いと言いたいです。なぜ浴衣を着ない。君らに欠けているのは服装への関心ではなく彼女への関心と尊敬だ。

おしゃれさん同士が写真を撮りあったりしている会場に極東の民族衣装で乗り込んだわれわれはもはや珍獣あつかいで、ものすごい勢いで写真を撮られました。男女で衣装を揃えるとインパクトが1+1=3ぐらいになるようです。報道関係者からもけっこう撮られたのでどこかの国の誌面でさらされているかもしれません。民族衣装といえばアラブ人は言うまでもありませんが、スコットランドのキルトを着た男性も何人か見かけました。

盛装の人たちが本物のアッパーなのか、あるいは祭りに便乗した単なるおしゃれピープルなのかはわかりませんが、こういうお祭りというのは、われわれのような下々の者も盛んに装うことによって貴族のまねごとをして楽しんでもいい日、みたいな気はいたします。初めての海外競馬なのでまちがったことを言ってたらすみません。

音に聞くおしゃれ帽子というものは予想をはるかに超える激しさでした。みんな頭の5倍くらい大きな帽子を平気でかぶっています。もはや帽子というより南国のトリです。クジャクの羽をさすなんてものではなく、クジャクを頭に載せているかのようです。ほかにもゴクラクチョウやオオハシやコンゴウインコなどがたくさんいます。凝ったトリを飼っているのはわりと年配の女性が多いです。一点ものですから高価なのです。さらにドレスや靴をコーディネイトするわけですからたいへん飼育費がかかるはずです。賞金80万円は割に合わないようにも思います。


インコさんと記念さつえい

帽子というのは日本人にとってドレス以上に難易度の高い、というかなじみが薄すぎて何をどうしていいかまるでわからないアイテムであります。日本女性がみんな寛仁親王妃信子さま(兄は麻生太郎)みたいに帽子を着こなすようになるにはあと200年ぐらいかかる気がいたします。