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この日だけ6月 1日 月 .


いいダービーでした。ちょっと泣いた。とても幸せな気持ちになりました。馬券外したけど。

横山典弘騎手おめでとうございます。ノリさんがとうとうダービージョッキーだ。41歳で。騎手23年やって。本当によかったなあ。

ノリさんはふだんするような派手なガッツポーズも、馬への激励も一切しないで、静かに静かにゴールを駆け抜けていた。それが逆にこの勝利が特別なものであることを物語っていて、映画のワンシーンのように劇的で、テレビの前でぞくぞくした。ゴール直後に2着の豊さんが後ろから近づいてきて、おそらくおめでとうと声をかけて手を差し出して、馬上でハイタッチしてたのにもじんときた。それ自体はよくある光景だけど、いつもと順位が逆なんだ。GTレースで驚異の83連敗中だったんだいつも2着ばっかりで。毎年たいがい5傑には入るトップジョッキーなのに。今回も2着だろうとか思っててすみませんでした。

そして顔じゅう泥だらけのままウイニングランをして、泥だらけの白いヘルメットを脱いで、10万の観客に向かって馬上から深々と、天覧試合でしかしないような礼をしていた。最高に格好よかった。

検量室に戻ってきたら、その場にいた関係者全員がものすごい勢いで祝福していた。みんな待ってたんだなこの然るべき人がダービーを獲るのを。ダービージョッキーになるというのは建築学会賞のようなものだけど建築学会賞よりさらにハードルが高いと思う。毎年1人しかなれないのと、騎手生命の短さとで。

インタビューで開口一番、勝てると思っていなかった、信じてやれなくて馬に失礼なことをした、と馬鹿正直に謝ってたのも格好よかった。久しぶりのGT勝利ですねと言われて、いえ未勝利も500万も(=格下のレース)関係者には大事な一勝ですから、と答えてたのも格好よかった。ふだんどおりの愛想のない、淡々とした態度に包んではいるけれども、馬と人への敬意に満ちた、すごく格好いいコメントだった。

メジロライアンの時から19年間ノリさんのダービー制覇を待ちわびた人たちはどんなにかうれしかっただろう、一介のファンに過ぎないしかもその半分の歴史も知らない私ですら一夜明けた今も胸がいっぱいです。目黒記念の方がおもしろいとか言ってすみませんでした。

一方その馬主はというと、なんと馬主になって2年目なのだ。つまり初めて持った馬がダービー馬。足が曲がってて、2歳の夏まで買い手がつかなかった馬を、フォームが好きだという理由で買った、その馬がダービー馬。中卒で会社起こして、200人の従業員を抱えるまでに成長させた、そんな叩き上げの社長が勧められて馬主になって、最初の年でダービー馬オーナー。すごい星の持ち主だ。みんなこの名誉が欲しくて欲しくて時間とお金をいっぱい使って、それでも一生届かなくて、一国の宰相になるより難しいとか何とか言われてるのに。世の中にはわからぬことがわかることよりはるかに多い。

うま話は読者に不人気なので(たぶん)、この話題は枕にするつもりでしたが、書いてたら長くなりましたので、今日はこれで終わります。