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この日だけ7月 2日 木 .


最近のおぼえがき@京都。

日埜直彦さんがリノベしたF.I.L.っていう裏原系ショップが河原町にできて、オープニングレセプションに行く。元は京人形屋さんだった店舗。既存の和の人形棚をそのまま靴や服の棚に。この棚がまた触れたら斬れるようなビシバシくる代物であり、詳しいことはよくわからないがとにかくプロポーションといい仕上げといい素材といい、あれは、いいものだ。この棚に対抗するべく、対面を一面フェイクのレンガ壁にして、そんでエフロを人工的に発生させて真っ白にしている。一見塗装。やり方を詳しく聞いたけど忘れました。おおよそ日埜さんらしくない生々しくモノモノしい、いや日埜作品見るの初めてですけどまあキャラ的にそうであろうと勝手に想像。天井なんて木製ルーバーだ何とベタなんだ。ぴかぴかとの落差で古いのを浮かせる素朴なリノベじゃなくて、落差はもちろんあるんだけどそれは色だけで、同時にテクスチャと割付は注意深くコントロールして、最初からこう作ってあったんじゃんてうっかり思っちゃうかもしれないぐらいの均衡を狙っているというか。レンガ壁もあんまりフィクションくさく見えないんだよな。棚を静かに牽制したり静かに喧嘩売ったりしてる感じ。空間がどうとかいうのはないけど、逆に建築家ってカッケエと思いました。場所は四条河原町のど真ん中。オモテの見世棚には人形と生け花しか置いてないからうっかりしていると見過ごす。入りづらいのなんの。

「前衛都市・モダニズムの京都」展@近美。いくつかのセクションで構成された展示ですが、全体的にお勉強風味のなか、目に楽しいのはやっぱ工芸です。浅井忠とか中澤岩太とか武田五一すなわちチーム工繊大のとてつもなくセンスのいい作品多数。薔薇図とか生で見たら鼻血吹く。パリ婦人散歩図とかも。武田五一の絵付の壷なんかもある。あれは、いいものだ。(←これがやりたかった。) すごくデザインをわかってる人なのだなと上から目線で思いました。デザイナーがモダンな意匠を考えて、それを伝統技術使って作るっていう構図が今と変わってない。ジャンル間の距離の近さが京都っぽい。あと時代間の距離も。いろんな時代の痕跡がちょっとずつ等価に存在してるから、京都では新しいものを導入することが古いものを駆逐することを意味しない。そしてプラクティカルな意匠は工繊大がやるから京大は構造と歴史と建築論やっとけっていう図式ができたのもなんとなくわかった。