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この日だけ2月 25日 金 .
われわれ、diploma x KYOTO '11 のコーディネータ(司会進行)をします。
それにあたって作成した文章を載せておきます。
(実際に文章を書いたのは昨年11月ごろです)

今回、京都建築学生之会によって掲げられたdiploma×KYOTOのテーマは「コラージュ、その先……」です。そこで私たちは講評会とシンポジウムに共通する副題として、「これからの設計者に求められること」という軸を考えました。

今この時代に卒業する方々にとって、建築を取り巻く状況は必ずしも明るくないように見えるかもしれません。経済のグローバル化によって海外でのビジネスの機会は増える一方、少子化、低成長の時代を迎えて国内市場は縮小しています。また技術革新によって、建築設計業務の範囲も変容しようとしています。そんな時代に求められる「設計者」像とはどのようなものでしょうか。現場ではどのような問題があって、どのような能力や発想が必要とされているのでしょうか。これから社会に出る学生が、自分の将来、そして建築の将来を探るきっかけになるような、さまざまな実務の現場で活躍している方々と話し合う場をつくりたいと思いました。

diploma×KYOTOは全国の卒業設計展の中でも、大学教員が関与せず、すべて学生の手によって企画・運営されているという点で、ほかに例を見ないものです。建築や時代に対する学生ならではの問題意識が込められた、独自性の高い展覧会であることを、私たちはとても評価し、尊重したいと考えています。真に学生たちにとって役に立つような、前向きで建設的なイベントにしたいというのが、私たちの願いです。

【推薦理由_講評会】
講評会では設計から不動産事業、施設の経営・運用、都市計画など幅広い視点から卒業設計を評価していただける審査員を選定しました。「これからの設計者に求められること」を軸とする、明るく前向きな講評を期待しています。

・中谷ノボルさん

関西にリノベーションの概念を根付かせた先駆的存在です。設計、施工、不動産事業などを包括的に手がけており、幅広い視点から評価していただけるでしょう。あわせて大阪にある古い建物や水辺の魅力の再発見と普及活動を継続しており、近年は雑居ビルをコンバージョンした宿「Hostel64」の運営を開始するなど新たな試みにも挑戦しています。卒業設計で対象とされる敷地への実践的な知識からの批評も期待できます。

・永山祐子さん

空想性と明晰さとを併せ持った魅力的な建築だけでなく、暖かい人柄を感じさせつつも明快で鋭いコメントにも定評があります。また「ルイ・ヴィトン京都店」の設計や京都精華大学での非常勤講師など、関西とのゆかりもお持ちです。深い洞察力から原石を拾い上げるような審査を期待しています。

・藤原徹平さん

隈研吾建築都市設計事務所では設計室長として精力的に多彩なプロジェクトを手がけられながら個人活動も行い、領域を超えたワークショップやイベントを精力的に開催されています。特にコンペ参加を通じて海外の建築事情の最前線をご存知であることと、地方都市でのお仕事を通してプロジェクトを都市レベルで盛り上げるすべを知っている点から、関西という地域の卒業設計展の審査員としてお迎えしました。

・布野修司さん

都市計画を専門とする研究者として活動するかたわら、評論や雑誌編集といった分野でも長年の間活躍されています。関西では京都大学と滋賀県立大学で教鞭をとり、研究室内外での活発な研究活動やワークショップ等を牽引しながら設計教育にも関わられてきました。幅広い視野と多彩なご経験を背景に、飄々とした語り口から繰り出される鋭い批評を期待しています。

【推薦理由_シンポジウム】
関西の大学出身の若い世代のゲストに出席いただき、卒業設計の「その先」を語っていただきます。シンポジウムでは特に「これからの設計者に求められること」という問いに対して示唆に富むお話を伺えそうな設計活動を行っている方、「建築家」の枠にとどまらない活動をしている方にお願いしました。

・前田茂樹さん
ドミニク・ペロー事務所でチーフ・アーキテクトを経験され、複数の国際的プロジェクトの実施設計に関わられました。グローバルな事務所での仕事内容や、日本に戻られた理由、現在の日本の状況や設計を学ぶ学生について感じられること、海外経験がどう役立つかなどを、建築設計を志す学生に向けてお話しいただくことを期待しています。

・勝矢武之さん
卒業設計で優秀な成績をおさめ、修士課程を経て日本を代表する組織設計事務所に就職されました。日建設計で担当された「乃村工藝社」「木材会館」といったお仕事を紹介していただきながら、大規模プロジェクトを手がけることや、BIMなどの先端的な技術を扱うことの、面白さや難しさなどを教えてもらいたいと考えています。

・納見健悟さん
設計、監理、CMといった仕事を経験。設計から施工、金融や法規など分野を横断する視点や、建設にまつわる全体を統合するコンサルタント的職能の必要性を日頃から訴えています。かつて「せんだいデザインリーグ」で優秀な成績をおさめており、説得力のある話が聞けるでしょう。建築を取り巻く社会状況や、これからの設計者に求められる能力に関するお話を期待しています。

・西澤明洋さん

建築学科出身ながら、早くからブランディングの可能性に着目。複合施設「上本町YUFURA」やブランディングを手がける「nana’s green tea」などの実例を通して、モノづくりや都市空間を支援・刺激するブランディングの方法論をお話いただきます。かつて京都建築学生之会の共同代表として「Diploma×Kyoto」を改革した経験からも、卒業設計の「その先」に対し示唆に富む話が期待できます。