ぽむ日記
 なるべく everyday
 使い方・リンク方法
ぽむ日記過去ログ
ぽむ日記サーチ
この日だけ6月 24日 日 .
パソコンを7年ぶりにMacに移行するので、いろいろなルーチンが発生してます。その作業中は妙に待ち時間が多いので、積ん読の解消もしています。いまメールの整理をしているうちに半分ほど読んだのが『3.11後の建築と社会デザイン』三浦展・藤村龍至著。明日久しぶりに藤村さんに会うので予習のつもりで手に取ったもの。

本のつくり方が面白い。2011年7月16日に5時間かけて開催したシンポジウム『3・11後の社会デザインー東北の再生と東京の再編』をまとめた本で、著者のおふたりはそれぞれ総合司会が三浦展さんで、各回司会が藤村龍至さんという位置づけ。5時間の内容を1冊の新書にできるとは省エネだなあ。発行年月日を見たら2011年11月15日。かなり急ぎでまとめた模様。パネリストが合計13人。けっこう多い。この人数の寄稿で新書をつくろうとしたら、えらい労力がかかる。たった1度のシンポジウムを本にするとは手抜きなのではないかと思わなくもなかったけども、議論の中から出てきた生産的な意見もあるだろうし、一気に話したからこそ出てくる全体のまとまりというのもあるだろうし、よい手抜き。

二部にわかれているうちの前半、第一部を読んで気になったのは釜石の仮設住宅の計画に関わっている大月敏雄さんの発言。「コミュニティが嫌いな人」が一定割合でいるので、敷地の半分は従前のコミュニティの生まれにくい普通の仮設住宅にして、もう半分を共同スペースやケア付き住宅なんかが並ぶコミュニティを取り込んだ仮設住宅にする、という話。こういう「普通の仮設住宅」があると発注者にあたる県も安心するとのこと。へー。

画一的で孤独を招きがちな従来の計画のカウンターとしてコミュニティを取り込んだ仮設住宅が生まれている。でもコミュニティ志向の建物ばかりにすればそれはそれで逃げ場がない。密かに、しかし確実に存在するコミュニティが苦手な層も視野に入れた、リアルな要求に答えた案だなあと。

というルーチンワーク中の読書感想文(ゆるめ)でした。