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この日だけ11月 8日 木 .
隈研吾:レクチャー/ダイアローグを読む。

---隈さんは自分をかなり動物的だと思ってらっしゃいますか?
隈:動物に近づきたいと思っているんですよ。

そんなシュールなトークがいろんな人との間で繰り広げられるステキな本である。隈さんが動物的と捉えるのは素材。それに対し、観念的だと捉えるのが平面図。

その話題の中心として上野千鶴子はじめいろんな人とのお話で登場するのが「団地」である。とにかく団地は平面計画の問題として語られている。nLDKとか、51C型とか。これはたぶん非常に観念的な態度である。建築(+社会学?)の人間特有の。動物に近づきたい隈さんですら「集合住宅の基本は間取りではなくて、ユニットの配列です」と語る(注:ただし動物化の話は比較的最近のネタで、集合住宅について語ってる対談は2002年ごろ収録なので、タイムラグがある)。団地イコール平面計画の問題という捉え方は、この本に限った態度ではない。というか集合住宅全般において、どういうわけか「問題はプランだ」という話になりがちだ。考えてみれば、妙な現象。

この違和感の源は、数日前に収録した団地座談会である。聞いてて「ほえー新鮮」と思ったのが、みんなして団地を「ディテール」とか「存在感」とか「インフラ」とか「大量生産品としての完成度」みたいなところから語っていたところである。プランについては「団地間って適度に狭くていいよね」とかそんな見方をしていて、いわば動物的団地観だったのだ。



(*2020年、一部文章に修正を加えました。)