K 最近はこの国では‘ユニット’というものが流行っているそうですよ。
M ひとごとのように言ってはいけませんよ。我々もいちおうユニットってことにしてますから。
K そんでうるさ型の飯島洋一さんがこんな記事を書いたのです。
M おっ。各界で(ココとか ココとかココ)話題のjt8月号掲載のあれですね。
「崩壊」の後で ---ユニット派批判 飯島洋一
〜なかみ〜
最近の若手けんちく家について飯島洋一がいろいろいう。
みかんぐみ・アトリエワン・インテンショナリーズ・建築少年に代表される若手‘ユニット’を 【ユニット派】と命名。
キーワードは‘60年代生まれ、阪神大震災、作者の消失、非作家性’など
K 名前をつけられちゃいましたね。悔しいっすね。まあ当たらずとも遠からずってとこですか?
M 「非作家性をコンセプトにするのはつまらん。ヤメロ。」って話ですな。それにしても長っげえよこの文章。
K 「最近のJ-POPは物足りない。やっぱりサザンがいい。」とも書いてありますね。やだねえオジサンは。
M そんなにメジャー志向の人じゃないだろう飯島さん。昔はレベルス・ウッズとか、ヘンテコな昆虫みたいな建物を大プッシュしてましたよね。どっちかっていうとマニア系です。
K 失礼しました。しかし、「ユニットを組む」ということの意味に関する考察の部分が気になりますね。あれを‘作者の消失’とか‘ある種のルーズさ’とか‘ドライな集団’というコトバで表現しちゃっていいんですか?
M そうですね。ユニットの基本は‘けんちく暴走族’ですからね。パラリラパラリラってフカしてナンボのもんですよね。
K そのとおり。若いウチはつるんで目立っておかないと誰も注目してくれません。みんなの心のボス・五十嵐隊長ですら昔はゾクに入っていたという過去がありますよ。
M もちろん歳をとったらやめますよ。ゾクだから。元祖けんちく暴走族・死威羅漢須も98年には組織替えしましたしね。
K その点拳血駆少年は賢いよな。賞味期限付きにしておいたからね。
M しかし桂さん、「ゾクはさいきんは衰退気味。魅冠組くらいですね。若手でゾクやってるのは。」 (GA JAPANかんそう43号参照)って言ってませんでしたか?
K ゾクってのは個々の人間性はさておき‘目立つためにとりあえずつるんでる集合体’を指すのだ。だからユニット化しても仕事の質には影響がない。それはシーラカンスに始まりみかんぐみに終わる。アトリエワンや我々はゾクじゃないよ。
M あ、ずるい。
ユニットのしゅるい
@ゾク 3人以上で結成された グループ。目的は‘目立つ’ことにあるため、とんでもない名前がつけられることが多い。また、‘イベント’を行ったり、ネットワークスとかアソシエイツと呼ばれる‘グルーピー’が存在するなど、人がたくさん集まることに意義を求め、コラボレーションなどを好む。名が売れたら役割は終わるので早期解散することも。 Aコンビ
基本は2人ユニットであり、双方の長所短所を補うために‘形担当’と‘コトバ担当’などに役割分担される。ようするにお笑いの‘ボケ’‘ツッコミ’と同じで、滅多なことではコンビ解消はない。というかそもそもピンではやっていけない弱いもの同士が組んでいる・・のはウチだけか。
M ゾクの志向性ってわかりやすいですね。でもやっぱりゾクは衰退してないような気がするんですけど。たぶんインテンショナリーズってゾク以外の何者でもないよ。
K でもインテンショナリーズもそんなに新しく出てきたわけじゃないですよね。いまの大学生あたりまでさかのぼれば、そんなにユニット化志向はないと思うぞ。私はあれは‘90年代の遺物’だと思う。でも、実際の暴走族がいなくならないのと同じで、憧れるヤングはそれなりに存在するのかな。
M 10年後に期待しましょう。
M ところで、みかんぐみってV6みたいっすね。個々のキャラが読めないというかユニットの方向性が見えないというか。
K それならアトリエワンはKinki Kidsかな。アイドルにはめずらしいコンビものだし、若手では一番の出世頭ですよ。
M けんちく業界はジャニーズ事務所のようにヒエラルキーや流行り廃れがあります。そのへんを図式化してみましたよ。
けんちく家ユニットとジャニーズユニットの比較マップ
M やはりここ数年来のスターは妹島さんです! 当然キムタクさんですね。あのへんの一番わかものに人気のある世代はまとめてSMAPですな。
K べつに彼らユニットじゃないですけどね。まあ仲良さそうだしいいか。
M さいきん人気急上昇の青木淳さんは香取くんで、我が道を歩んで固定客をつかむ内藤廣さんは稲垣くんなのですね。弱そうなキャラの石田敏明さんはSMAPいち情けないキャラ担当の草なぎ君でしょう。
K よく言えばいやし系とかなごみ系っていうヤツですね。スター建築家の地位を捨てて京大助教授になったという経歴からいえば 、タケヤマ先生がアイドルからロードレーサーに転身した森君なのも、当然です。
M ジャニーズのヤングたちに憧れられているオニイサン、元少年隊ヒガシといえば伊東豊雄さんです。ニッキやカッチャンにあたる人もいるんだろうけど、よくわかりません。
K その上にある郷ひろみってのはなんだよ。まあなんとなくわかるけど。
M 安藤さんとの共通キーワードは「存在感」「力技」ってとこですかね。
K 彼らを総括するのは公共事業のコーディネーターとして暗躍する磯崎新さん。もちろんジャニー喜多川でしょう。
M けど高松伸さんが諸星くんなのはまだいいとしても、シーラカンスが男闘呼組っていうのはちょっとヒドイんじゃないすか。
K ・・・スマン。ちょうどこの時期はジャニーズ暗黒時代だったのです。
M 東京の学生はジャニーズJrで、関西の学生は関ジャニJrなのですね。東京のことはしらないけど、関西の学生も関ジャニJrも、原広司の京都駅で発表会をやってますね。
K けんちく家に憧れるヤングはジャニーズに入りたがる中学生と同じってことだ。Jr個人個人もステージの高さはいろいろだから、みんな普段からトレーニング積んで頑張ってますよ。Jrにとってはコンペで伊東豊雄さん(=ヒガシ)の目にとまるのが最大幸福。
M なんだか飯島さんの話からどんどん遠ざかってきましたね。もはやユニットがどうという話じゃないっす。
K 作者の消失とか非作家性の話ですか? 最近のジャニーズアイドルはハデハデ衣装を着ておバカな歌を歌うというお家芸を放棄してますからね。そういう‘コテコテ’に対して冷めた感情を抱いてるあたりがまあ共通点といえば共通点かな。Kinki Kidsなんかはそういう部分をネタにしているらしいし。
M なるほど。建築家のクリエイティブを前面に出したり、スタンドカラーを着たりしないのが若い世代ということですね。
K ようするに恥を知っちゃってるんですね。
M 飯島さんが言いたかったのは「芸人のくせにさめたツラすんな。」ってとこですか。
K 郷ひろみの方が見てるぶんには面白いしね。